プレスリリース
エステック、高速なエンジン振動シミュレーションCAEソフト
「ESTECH.PS-X」を発表
~独自開発した高速計算アルゴリズムでエンジン振動・騒音設計を支援~
株式会社エステック(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:阿部俊朗)は、運転中のエンジンの振動をきわめて高速に計算し、振動・騒音設計を支援する有限要素法CAEソフトウェア「ESTECH.PS-X」を開発しました。
開発のねらい
自動車の燃費向上への要求が年々高まる中で、自動車エンジンは一層の軽量化を求められています。 構造部品の軽量化を達成しながら車両の静粛性を維持向上していく上で、エンジン振動・騒音設計業務が担う役割は日を追って大きくなっています。
エンジン振動・騒音の設計検討では、運転中のエンジン振動シミュレーションを頻繁に行う必要があります。 しかしながら、従来のエンジン振動シミュレーションは1回あたりの計算に長時間を要するため、設計検討のボトルネックとなっていました。
ESTECH.PS-Xは独自の高速な計算アルゴリズムを採用することにより、従来の市販ソフトに比べ、きわめて短時間(当社ベンチマークテストで計算時間比約1/150)で同じ精度の計算結果が得られます。
また固有モード寄与分析、入力寄与分析などエンジン振動解析に特化した計算結果の分析機能を備えており、設計者は検討中のエンジン仕様の問題点を迅速に把握できます。
ESTECH.PS-Xを活用することで、設計者は開発エンジンの現状把握、要因分析と対策検討をきわめて効率的に行えるようになり、設計検討期間の短縮化を図ることができます。
独自の計算アルゴリズム
エステックは5年間にわたる基礎研究を行い、クランクシャフトとエンジン本体の振動を高速に計算する新しいアルゴリズムの開発に成功しました。 2013年8月には、この計算アルゴリズムに関する特許を取得しています。 (特許第5352026号)
構造物の振動は、内部のひずみが時刻とともに一定のパターンで変動を繰り返し、これが様々な周波数で同時に起こる現象です。 運転中のエンジン振動をシミュレーションする従来の市販ソフトでは例外なく、時刻ごとに振動を計算するアルゴリズムが採用されてきました。 しかしながら、このアルゴリズムは計算時間が長くなるという問題があります。
ESTECH.PS-Xはエンジン振動を時刻ごとではなく周波数ごとに計算する、周波数応答解析と呼ばれる計算法をベースにしたアルゴリズムを採用しています。 周波数応答解析は振動問題に特化した効率のよい計算法で、振動シミュレーションでは高速に結果が得られる手法として一般的に使われています。 しかし従来の周波数応答解析では、回転するクランクシャフトと回転していないエンジン本体の振動を同時にシミュレーションすることはできませんでした。
エステックは独自の基礎研究により、クランクシャフトとエンジン本体の振動がそれぞれ異なる周波数で作用し合う次数間連成のメカニズムを理論的に解明し、新しい運動方程式を導くことに成功しました。 この理論により、エンジン振動を周波数応答で解くことを世界で初めて実現可能にしました。

ESTECH.PS-Xのシミュレーション
分析機能
ESTECH.PS-Xは周波数応答でエンジン振動を計算するため、定常状態のモード寄与を精度よく計算することができます。 モード寄与は着目するモニタ点の振動に対し、エンジン構造が持っている固有振動モードが個々にどの程度の影響を持っているかを表します。着目するモニタ点、および周波数の振動に高い寄与を持つ固有モードを特定することで、適切な対策検討を行うことができます。 (下図)
また入力寄与分析を用いて、モニタ点振動に大きな影響を持つ荷重入力部位、および入力の周波数を特定することができます。
検証用モデルによるベンチマークテスト
計算条件: 3000rpm、 クランクシャフト遠心力およびクランクピン荷重4次成分のみ負荷
従来ソフト(市販の弾性体機構解析ソフト)のシミュレーション結果とも精度よく一致
本事例での計算時間 PS-X: 約4秒 従来ソフト: 約10分 (Window PC使用)
提供価格
ESTECH.PS-Xネットワークライセンス : 300万円 (税別、1年間レンタル)
本シミュレーションには、 MSC NastranおよびESTECH.Nast+(エステック独自開発ソフト)を 用いて作成されたモーダルモデルが必要です。
ESTECH.PS-X本体 動作環境
OS : Windows 7(32bit/64bit)
ハードウェア : CPU Intel Xeon および メモリ 16GB以上 を推奨
※記載されている会社名および製品名は各社の商標または登録商標です。
関連リンク
お知らせ
- 自動車技術会主催 シンポジウム「新技術による振動騒音設計の革新」
- 株式会社JSOL主催 JMAGユーザー会2023にて発表
- HBK社主催 Empower the Innovators Summit 2023
- 実験商品:取り扱いシステムの追加
- ITmedia Virtual EXPO 2022 秋にて「VDX Studio」が紹介
- MONOistにて「VDX Studio」が紹介されました
- 次世代モビリティーのバーチャルシミュレーションスタジオ「VDX Studio」を開設
- 【サポート情報】Apache Log4j の脆弱性対策について
- MDPI社 C Journal of Carbon Research 誌に論文掲載
- 英語サイト作成しました
- ISID X Innovation フォーラム 2020 の発表内容を提供
- MSC Software Corporation主催 MSC Nastran Excellence Award 2位
- 2020 SPVM ConVIRTUALisationにて発表
- ELSEVIER社 Optical Materials誌に論文掲載されました
- 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた弊社の取り組み
- Advances in Engineering社のホームページにて掲載論文が紹介
- MDPI社 Nanomaterials誌に論文掲載
- リソースページを更新しました
- ELSEVIER社 Composites誌に論文掲載
- 日本機械学会論文集 謝辞掲載
- 役員異動のお知らせ
- ご挨拶:弊社30周年にあたり
- 「エステック技術開発センター」紹介動画を公開
- 本社移転のお知らせ
- ESTECH.MNV : ソフト紹介ページを追加しました
- 「エステック技術開発センター」開設のお知らせ
- 著書の発売「IoT/AIの活用は製造業に革新をもたらすか? 製造現場・工場におけるIoTの利用と可能性」
- 「自動車技術」2017年7月号に記事が掲載されました
- 第67回(2017年)自動車技術会賞 論文賞受賞
- ESTECH.PS-X : 事例を追加しました
- 役員異動のお知らせとご挨拶
- MONOistにエステックの発表内容が掲載されました
- リバースエンジニアリング:FEモデル提供開始
- 実験商品に追加情報
- 「経営理念」、「社是」改訂にあたって
- ご挨拶:弊社25周年にあたり
- コンサルティングに電磁界解析事例を追加
- プレスリリース:エンジン振動の高速解析ソフトESTECH.PS-Xをリリース
- 高速なエンジン振動解析手法で特許取得
- SimFlexがMathWorksサードパーティ製品に
- ホームページをリニューアルいたしました。
- 平成24年度日本塑性加工学会技術開発賞 受賞!
- 2011年度日本機械学会賞(論文) 受賞!